
カルロスのサックスは、ブランフォード・マルサリス、ジョシュア・レッドマンなど、当時ジャズ界に台頭して来た若者達をもってしても当たるまじき勢いで、正に「本物の怪物」のオーラを感じるプレーヤーでした。
僕は彼のバンドのレギュラーメンバーとなり、その後15年共演しましたが、彼の勢いや創造力、そして何より音楽に対する情熱は一向に衰える気配がありませんでした。長きに渡り彼のバンドでドラムを叩けた事は僕の音楽活動の大きな糧となり大きな勲章だと思っています。
そんな怪物の様な彼も、昨年3月、85才で天に旅立ちました。
翻って、57才の今の自分に当時の彼の様な覇気があるだろうか?そんな自責の念に駆られていると、「シンゴ!お前はまだまだこれから出来るじゃないか!」というカルロスの声が聞こえました。今作はそんな彼の声に答える気持ちで、天国にいる彼に想いを馳せて演奏した新宿ピットインでの入魂のライブから厳選した6曲を収録した作品です。
今作のタイトル、Big Brotherは、僕がカルロスに送っていたメールのレターヘッドです。僕は当初、Mr Garnettと書いていたのですが、彼が「シンゴ、そんな堅苦しいのはやめろ、Brotherでいいよ」と言ってくれたので、彼に敬意を込めてそれにBigをつける事にしました。 奥平真吾